統計レポートvol.5

自分を「盛る人」の性格には共通点がある

信頼性ランクS群2,217人とD群835人の決定的な違い ── 27,097人で検証

📌 最新データのお知らせ(2026-06-02 更新)
本記事の数値は2026年5月時点のスナップショット集計(n=27,097人)です。第2号(最新版)ではランクD除外+ランクCを含めた 41,028人ベースで集計しており、データラボ エクスプローラー は最新版を反映しています。

性格診断で「自分を実際より良く見せたい」という心理は誰にでもあります。心理学では社会的望ましさバイアス(Social Desirability Bias)と呼ばれる現象で、Paulhus(1991)以降、数多くの研究が行われてきました。BIG5-BASIC定期統計レポートvol.5では、独自の信頼性指標で検出された「正直回答群(S)」と「盛り回答群(D)」の性格構造を比較し、「盛る人」に共通する性格パターンを27,097人データで明らかにします。

📊 vol.5 衝撃のハイライト

D群(盛り回答 835人)の5因子T得点が異常値:E=59.6 / A=54.0 / C=59.6 / N=61.7 / O=56.1(全因子で平均+5以上)

D群の満足度は3.72:S群(3.17)より0.55ポイント高い──実態か呈示か

・S群とA群とB群はほぼ同じ性格構造(高信頼性回答者は標準分布)

・C群は軽い自己呈示傾向(E=51.9, N=50.8)

5人に1人(C+D=5,909人/27,097人)は何らかの回答バイアスあり

注意:本レポートは「D群の人を非難する」ものではありません。社会的望ましさバイアスは多くの人に普遍的に存在する心理現象であり、BIG5-BASICが検出するのは「全体の中で相対的に表出が強かった層」です。学術的な客観分析として、信頼性指標を備えた診断の重要性を示すものとしてお読みください。

BIG5-BASICでは、ビッグファイブの5因子120問とは別に、3つの妥当性尺度で回答の信頼性を評価しています。

尺度意味
Va尺度(見栄)「私は今までに嘘をついたことがない」など、現実離れした望ましさへの同意傾向
Neg尺度(防衛)自分の弱点や問題を認めにくい傾向
Ti尺度(本音)稀な体験や非典型的な感情への過剰な同意傾向

これらの尺度から総合スコアを算出し、S(最高)/A/B/C/D(要確認)の5ランクで信頼性を評価します。確立された妥当性評価の考え方と、Big Five研究の知見を組み合わせた独自の指標です。

※下表は本レポートで分析対象とした満足度回答者19,104人の内訳です。全受験者27,097人全体での内訳とは数字が異なります。

ランク意味人数割合
S最高信頼性2,21711.6%
A高信頼性3,83420.2%
B標準8,85846.4%
Cやや要注意3,36017.5%
D要確認(バイアスあり)8354.3%

S+A+Bの78.2%が「信頼性十分」と判定される一方、C+Dの21.8%には何らかのバイアスが含まれます。「5人に1人は盛り回答」という事実は、信頼性指標がない多くの無料診断の結果がいかに歪みやすいかを示しています。

補足:vol.1との数値の関係
本シリーズ vol.1 では、32タイプ最多が EACNO型(14.08%)と紹介しています。これは全受験者27,097人を母集団とした値です。一方、本記事のように信頼性ランクS/A/B(高信頼性層)に絞った場合、上位タイプ分布が若干変化することが分かっています。これはD群の「盛り回答」が全因子高得点となりEACNO型に分類されやすいためで、本記事の発見と整合する現象です。

本レポートの最大の発見が、D群の5因子T得点が全因子で異常に高いことです。標準化得点(平均50・標準偏差10)であるT得点で、D群は次の値を示しました。

因子D群平均標準値からの乖離
外向性(E)59.60+9.6(+1σ)
協調性(A)53.95+4.0
勤勉性(C)59.64+9.6(+1σ)
情動性(N)61.74+11.7(+1σ超)
創造性(O)56.07+6.1

5因子全てで平均より高いという統計的に異常な分布です。本来、5因子は緩やかな相関関係はあるものの、すべて平均+1σ近くに集中することは確率的にほぼあり得ません。これは「自分を多面的に良く見せたい」心理が、回答全体に系統的なポジティブバイアスを与えた結果と解釈できます。

因子S群(正直)D群(盛り)
外向性(E)49.8059.60+9.80
協調性(A)50.2253.95+3.73
勤勉性(C)48.4159.64+11.23
情動性(N)48.5261.74+13.22
創造性(O)48.8156.07+7.26
満足度3.1673.717+0.55

特に勤勉性+11.23と情動性+13.22の差は突出しています。「真面目で感情も安定している」という最も「望ましい」とされる性格特性が、盛り回答で最も誇張される傾向が分かります。協調性の差(+3.73)が小さいのは、協調性は本来日本人で全体的に高めの分布を示すため、誇張余地が小さかったと推測されます。

心理学研究では、社会的望ましさバイアスは次の3つのメカニズムで生じると考えられています。

① 自己欺瞞型ポジティブバイアス(Self-Deceptive Enhancement)

本人は本気で自分は素晴らしいと信じている。質問に答える時、過去の成功体験のみを思い出し、失敗体験を抑圧する。Paulhus(1984)が提唱した概念。

② 印象管理型バイアス(Impression Management)

本人は自分の弱点を知っているが、他人の目を意識して敢えて望ましい回答を選ぶ。採用試験などで観察される。BIG5-BASICはWebの匿名診断なのでこの効果は弱いはず。

③ 文化的望ましさへの同調

「成功者の性格」のステレオタイプ(外向的・勤勉・冷静)に無意識に寄せて回答する。日本では「真面目さ」「冷静さ」が特に望ましい特性として認識されており、勤勉性と情動性に最大の差が出た原因と考えられる。

16Personalities、エニアグラム、ディグラム診断、岡田斗司夫4タイプなど、無料診断の多くは信頼性指標を持たない。つまり「盛り回答」を検出できず、ユーザーの自己呈示バイアスがそのまま結果として表示されます。

これは2つの問題を生みます:

BIG5-BASICが信頼性指標を実装した理由はここにあります。「盛って答えた」診断結果は信頼できる?もあわせてお読みください。

1. D群の5因子は全部「+1σ」近くに集中

外向59.6・勤勉59.6・情動61.7と1σ近く。本来は5因子は独立性を持つため、全員が全因子で1σ高いのは統計的に異常パターン。

2. 勤勉性と情動性の盛り幅が最大

S群との差は勤勉性+11.23、情動性+13.22。「真面目で冷静」が日本社会で最も望ましい特性とされる文化反映。

3. 満足度も0.55ポイント高く回答

D群の満足度3.72はS群3.17より大幅に高い。「自分は幸せだ」と回答する傾向も自己呈示バイアスの一部。

4. C群は軽症の盛り回答

C群(17.5%)はD群より軽いがバイアスあり。E=51.9, N=50.8と平均+1〜2程度。5人に1人は何らかの自己呈示を含むことになる。

5. S+A+B群(78%)はほぼ同じ性格構造

3群とも5因子は48〜50の標準分布。これが「日本人の性格の真の姿」と読める。信頼性指標で篩い分けたデータこそが正しい統計集計の基盤。

次号 vol.6 では、EACNO 32タイプ × 32タイプ = 1,024マスから対称性を除いた496通りの組み合わせ全てに、ビッグファイブ研究に基づく相性スコアを算出した完全マトリクスを公開。あなたのタイプの相性最強・最悪は誰か?2026年5月17日公開予定

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本レポートのデータ・分析手法の引用は、出典明記(「BIG5-BASIC統計レポートvol.5」+ 本URLへのリンク)を条件として歓迎します。心理学・人事・採用研究のご利用も歓迎します。
参考文献:Paulhus DL (1991). Measurement and control of response bias. / Crowne DP & Marlowe D (1960). A new scale of social desirability independent of psychopathology.

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BIG5-BASIC データチーム (2026).
「【統計レポートvol.5】自分を「盛る人」の性格には共通点がある|信頼性S群とD群の決定的な違い」.
https://big5-basic.com/front/column/survey-2026-vol5-reliability-comparison

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